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花々と星々と~お嬢さん放浪記

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最近埃を払って読み直していた本3冊。

花々と星々と(中央公論社)
ある歴史の娘(中央公論社)
お嬢さん放浪記(中央公論社)

すべて犬養道子さんが書かれたもの。

犬養道子さんって、5・15事件で暗殺された
総理大臣、犬養毅さんのお孫さんです。
元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんは、
道子さんの従姉のお嬢さん。

恵まれた環境の中で、当時の最も
リベラルな芸術家たちに囲まれて
育ちながら、時代の流れの中で、
いやおうなしに、5・15事件やゾルゲ事件などなどに
巻き込まれていく道子さんが、長い自伝の最後の1章を、
聖書との出会い、神との出会いに
さいていらっしゃるのが、興味深かったです。



「お嬢さん放浪記」は、神様を見出したあとの彼女が
日本を飛び出して、世界にでていくお話。
人との出会いの記録がすばらしい。

道子さんは、洗礼を受けたのち、四谷(信濃町)にあった
自宅を、カトリックの修道会に寄付します。

クララは、27歳から28歳にかけて、ある方のご紹介で
この修道会を知り、時間を見つけては、この修道会の
広い和室の御聖堂で、静かなひとときを過ごしました。

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20畳ほどもある広い和室の御聖堂。窓辺にはシスターたちが丹精こめて
育てている大きなシクラメンの鉢が並び、時折、電車が通り過ぎる音が
聞こえてくる場所。カタンカタンカタン・・・という電車の音がなつかしいです。

シスターたちは、優しく見守りながらも、介入をひかえてくださり、
(その距離感がどんなにありがたかったか・・・)
気がすむまで時間を過ごして帰ろうとすると、スリッパの中に、
「どこどこのお部屋におやつを用意してあります。召し上がれ」と
書かれた小さなお手紙がはいっていたりして、
帰りにひとりで、おやつを食べて帰ったりしていました。^^

いろんな意味で転機にあったわたしのために、
静かな場所を提供してくださったシスターたちの住まい。
その住まいが、犬養道子さんが捧げたものだったのです。

ずいぶん前に、その建物は取り壊されて、新しい建物が建ったと
聞きましたが、わたしは新しい建物には一度も足を運んだことは
ありません。

ちなみに、2・16事件で、時の教育総監であった父親、渡辺錠太朗さん
が1mの距離で暗殺されたのを目撃した渡辺和子さん
(ノートルダム清心女子大学学長、シスター)もまた、長じて
カトリックの洗礼を受けられた方です。

生涯独身で、飢餓や難民の方がたのために働かれた犬養道子さんと
シスターとして、その生涯を教育のために捧げておられる渡辺和子さん。

このおふたりの発言とその生き方、ときどき思い出しては
心にとめています。(カトリックとプロテスタントについては、よく質問
を受けるので、いつかまた別の記事にしたいと思っています。)

犬養道子さんは、「ある歴史の娘」の最後でこう書いておられます。

~そして、私はふと考えた、いま煙となって行く「私の過去」を形成した
すべてのものごとー私を苦しめさいなんだ出来事や人々をもすべて含めてー
は、結局、私をいま立つ新生の門口にまで導くいわば道具であったのだ、と。
5・15も、ゾルゲ事件も巣鴨の拘置所も、踏み込んで来た検事たちも、
お祖父ちゃまの死も、家の中の相克も、上海も、和平工作の人々も、
幼い頃の白樺の人々も、父も母も弟も、「冷たい」世間も、一切は、それらに
よって私が問いを発し、求め、探し、たずねて、己が生の意味を「在る者・神」
の中に見出すべく、与えられた尊い旅路の「道しるべ」であった。

わが歴史を通してー大正・昭和の歴史の波間に置かれたわが「小さき歴史」
を通して、語り続けたのはー神であった。~
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by clara19 | 2008-12-02 17:52 |