「若草物語」に見る父のまなざし

若草物語 (福音館文庫)

L.M. オールコット / 福音館書店



小さい頃から、本が大好きだった私。
幼稚園にはいると、母が1月に1冊ずつ届く
少年少女世界名作全集を注文してくれました。

皆さんもよくご存じのマーチ家の4姉妹、メグ、ジョー、ベス、エイミーに出会ったのも
その本を通してでした。戦地に行った父の留守を守る母と4人の姉妹の物語。

長女のメグは16歳で、とても綺麗だけれどちょっと見栄っ張り。
二女のジョーは、15歳。はねっかえりの子馬のような元気の
いい少女で、小説家志望。
三女のベスは、13歳でたいへんなはにかみ屋さん、ピアノが得意。
末っ子のエイミーは、11歳で美しいけれど、かなりうぬぼれ屋さん。



父親不在という設定が、聖書の中のお話を思いおこさせます。。。

~主が僕たちに、それぞれタラントを与えて旅にでていく。
いつ帰ってくるかは知らされていないけれど、僕たちは
自分に与えられたものを、どう扱ったか、主が帰ってきた時に
報告し、それぞれの成果にあわせて評価されるというお話~

母親は、4姉妹のお世話をするだけではなく、あたりまえのように
御近所の貧しい家族の面倒を見たりしている。。。マーチ家も
夫不在なので豊かなわけではないけれど。

姉妹たちは、それぞれ長所と短所をもっていて、物語が
すすむにつれて、痛い思いをしたり、恥ずかしい思いをしたりして
自分の内側に何があるかを学んでいく。

エイミーがジョーに仕返しをするためにジョーが大切にしていた
小説の原稿を燃やしてしまい、それを赦せなかったジョーが
エイミーを無視したために、エイミーが湖の氷の下に落ちて死にかけたり・・・

お金持ちの家に遊びに行ったメグが、背伸びして分以上のおしゃれを
したために、かえって恥ずかしい思いをしたり・・・

戦地にいる父親危篤の報を受けて、母親の旅行の代金を
作るために、ジョーが長い髪の毛を売らなければならなかったり・・・

両親ともに留守の間に、母親の代わりに、しょうこう熱にかかった赤ちゃん
の面倒を見に行ったベスが、しょうこう熱にかかって重症になってしまったり・・・

次々に起こる困難や試練をとおして、自分の弱さや欠点と直面して
悔いあらためたり、赦すことを学んだり、自分の心をコントロールする
術を身につけていく姉妹たち。忍耐や自分の大切なものを人に与えること、
仕えることは、日々の経験をとおして実践されていきます。

最後の最後に、奇跡的に全快したお父さまがもどられて、物語は
幸せな最後を迎えるのだけれど、その時、父親が姉妹ひとりひとりに
かける言葉が素晴らしい。

メグへ・・・
「お父さまは、この手が白くてすべすべしていた時のことを覚えているよ。
その頃のメグの苦労は、どうすればこの手を汚さずにすむか、ということだったのだ。
ーけれども、お父様は、今のこの手のほうがずっと美しいし、尊いと思うのだよ。
まわりの人を幸せにするために働いたかたい手のほうがどんなに美しいことか。
お父さまは、帰ってきてこの手と握手することができたことは本当にうれしく思うよ。
あんまり早くこの手をよその人に渡したくないものだね。」

ジョーへ・・・
「うん、ジョーも髪は短くなったようだが、一年前に別れたわんぱく娘はどこかへ
行ってしまって、お父様が望むようなりっぱな小さな貴婦人になっていたので
びっくりしましたよ。(中略)顔がすこしやつれているようだが、それはお母さまの
代わりになってベスを看病してくれたせいでしょう。髪を切ったので、うちの
おてんば娘がおとなしくなったのかどうかしらないが、これだけははっきりと
言えると思うよ。おまえがお母さまに持たせてくれた25ドルで、買ってもいいと
思うような立派なものは、ワシントンじゅうを探しても見つからなったよ。」

ベスへ・・・
「ヘスは病気をして、こんなにちっちゃくなってしまったのだもの。あんまり
いろいろ言うと、はにかみやさんがますますはにかんで小さくなり、するっと
腕からすりぬけて、いなくなってしまうのじゃないか、と心配で何も言えないよ。
もっとも、最近ははにかみやさんもだいぶ治ったようだがね。
ほんとによかったね、ベス。元気になって・・・いつまでもこのままでいておくれ。]

エイミーへ・・・
「お父さまはね、晩御飯のとき、おまえがまっさきにいい肉のところをとらずに、
食べにくい骨つきのところをとるのを見ていましたよ。それから、昼からずっと
おかあさまのお手伝いをしていたことも、にこにこしながら、みなに給仕を
してやっていたことも、ちゃんと見ていました。(中略)エイミーは自分のことよりも
ほかの人のことを先に考えるようになったのだ、とね。(後略)」

ひとりひとりの弱さや欠点を知りぬいていて、その成長を
喜んでくださるこのお父さまのまなざしは、神様のものに似ていると
思ったクララは、深読みでしょうか?

姉妹たちは、このお父さまの言葉を聞いて、苦労が報われたと思うんですね。

僕たちを残して、旅にでていく主とは、イエス様のことですが・・・
帰ってきたイエス様とわたしたちも、こんな会話を交わせたら、本当に
幸せです。ひとりひとりがこぼした涙も、我慢しなければならなかったことも、
変わらなければならなかったことも、すべて知っていて、正しい評価をして
くださるのは、イエス様ただおひとりだけ。

私は、オルコットが、この物語をとおして地上の旅について書いているのではないかと
最近、思うようになりました。心の中の悪魔と闘って、人を赦すことを学び、
自分が自分がという気持ちをおさえて、人に大切なものを与え、愛し、仕えることを
学び、試練や困難を耐え忍んで実を結び、いつの日か直接お会いするイエス様に
ほめていただくような人生を送ることを教えているのではないか、と思うようになったのです。

オルコット自身は、一生独身で、両親や姉妹のせわをしながら小説を書いていた
そうです。二女のジョーは、著者自身とよく言われています。

幼稚園生だった私には、マーチ夫人が近所の困っている人たちのことを、
いつも心にかけている姿が忘れられなかったのです。
その心は、4人の姉妹たちに受け継がれていき、この本を読んだ子供たちにも
受け継がれていったことでしょう。。。幸せの本当の意味と一緒に。。。
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by clara19 | 2009-06-04 17:38 |